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Posted by ミリタリーブログ at

2018年11月14日

戦闘力の向上手段

目的:組織戦闘における意思(思考)共有・共通化による戦闘力の向上(長いです。)


組織戦闘において、意思(思考・思想)の共有化は作戦目的達成への近道になります。これは限られたリソースの効率的運用、通信途絶時の独立戦闘における全体最適の維持など、目的達成に直結する意思決定の改善に資するものと考えます(ただし、最適解の導出には「思考の多様性」の維持が大事であり、画一的思考に拘泥することを推奨するものではない。)。
KO(仮)SDMで推奨されているブレーンストーミング法で提唱される、「人間の思考を連結(脳をくっつける)してイノベーティブな発想をもたらす」というのと同じ発想です。
私論ですが、思考の共有とは本来、群れで活動する動物には固有の能力ではないかと考えます。野生動物は、鳴き声やアイコンタクトなどの簡単な意思疎通で集団行動を取り、群れとしての全体最適を具現化しています。私が言いたいのはアレです。
イメージとしては、テレパシーとか「ニュータイプのカン」などに近いかもしれません。…スズメやネズミですら出来るのに、人間に何故出来ないのか?言語を始めとする意思疎通ツールの発達が、人間本来の意思疎通能力の低下を招き、全体意思が脆弱化する原因になっているのではないか。とすると、電子メールやSNS、情報通信技術が飛躍的進歩を遂げる今、人間のコミュニケーション能力はますます低下するのでは…‼︎
…本題に戻ります´д` ;
最適解を至短時間で導出しアクションタイムを短縮することは、敵の意思決定サイクルを超越して優勢を獲得するために有効です(参考:ジョン・ボイド「OODAループ」)。

戦闘様相の急激な変化や情報収集の困難さが一元的指揮を困難にする市街地戦闘や、脅威の存在が不明瞭な非対称戦などでも重要なファクターになります。
また、思考を共有することにより、意思決定速度の向上だけでなく、上級指揮官の命令を待たずとも最適な行動が可能になることが副次的効果として期待できます(適切な権限委任が前提)。


思考を共有化・共通化するためには、個々の状況判断の基盤を揃えることが必要です。そのための手段は、タイムスパン的に分けると大きく2つあります。1つは、恒久的・普遍的手段、もう1つは一時的・短期的手段です。
恒久的・普遍的に思考基盤を揃えるには
・バックグラウンドを同じにする
・ドクトリンなどにより後天的に同一の思考過程を与える
などの手段が挙げられます。
イギリスでは、国のエリート達はパブリックスクールで集団意識を学び、軍人を含む各分野のトップリーダー達は思考の根底にイギリス人として共通の「エトス」を持っています。

また、WW2以前のドイツ軍は代々軍人家系という構成員が多いため価値観や使命感がブレることがなく、第三帝国崩壊まで手強く戦ったという歴史があります。

一方、幼少期からの教育や、そもそもの出自により共通思考の基盤を持つことが難しい場合、ドクトリンなどを教育することで「戦いの考え方」に斉一性を持たせることが有効です。戦時動員を主としている軍隊でドクトリン研究やドクトリン規範化が進んでいるのは、促成栽培で効率よく斉一性のある思考過程を将兵に叩き込むためです。旧ソ連軍やかつての米軍がその例です。


一時的・短期的に思考基盤を揃えるためには、まず「共感力」が挙げられます。周囲の仲間がどのような状況に置かれているかを感じ取り、まるで自分がその状況下にあるかのように考えます。
…とは言っても非言語コミュニケーションですら難しいのに、平たく言えば「味方の空気を読む」なんてのは非常に難しいと思うので、やはり言語を介したコミュニケーションや意図的なアイコンタクト、目視その他による直接的な状況把握によって状況認識を高めるという方法が実効性のある策でしょう。
状況認識、Situation Awareness=SAを高く保持することは戦闘において極めて重要です。自分のSAが低い時は、SAの高い人の指示や助言に従ったほうが任務達成率は高くなります。また、至短時間で理解できる共通用語や、予め定めたブレビティワードを使ってコミュニケーションを図れば、より短時間でSAを構築することができます。

ここまでまとめると、ドクトリン等により思考基盤を標準化し、SA構築により思考を共有(まではできなくても、互いに近づける)することによって、意思決定速度を向上し戦闘力向上に寄与することになります。また、高いSAの保持は
・組織として、行動を最適化できること
・個人(最小戦闘単位)として、能力の最大発揮が可能になること
を実現するだけでなく、組織・個人の能力向上による相乗効果で、任務遂行が更に容易になることが期待できます。

もちろん、任務に際しては「目的」の明確化、統一が必要なのはいうまでもありません。

以上、非常に長くなりましたが、要点をまとめると
・チームで動く意識を大事にする
・仲間とコミュニケーションをよく取る
ということです。



今回の話だけでは分かりにくいので、いずれ「戦いの原則」についてまとめてみようと思います。

…「マクロスF」ネタだったはずなのに、えらい堅い話になってしまいました(・_・;


読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m  


Posted by m14gbbshooter at 22:22Comments(0)