2017年04月16日

横田広域警察24時〜YPD SWAT「JEDI」〜

横田広域警察24時〜YPD SWAT「JEDI」〜
横田広域警察 強行班第3分隊待機室
新入りのメンバーが雑談の輪に入り、質問を先輩に投げかけた。
「あの、副班長のことなんですが」
「ん、副班長て鬼の副長のことか?」
横田広域警察24時〜YPD SWAT「JEDI」〜
「あ…はい、何でコールサインがジェダイなんですか?やっぱり正義の味方だからとか?」
「いや違げーよ、あの人元々自衛隊にいたんだ、話すと長くなるけど。元々は救難のパイロット」
横田広域警察24時〜YPD SWAT「JEDI」〜

20XX年 国内某所…大地震が発生した数十分後、被害状況の細部を偵察するため各自衛隊の救難ヘリや捜索機が緊急発進し、被災地周辺に向かっていた。海岸線ではスクランブル発進した戦闘機が洋上を監視している。
横田広域警察の一員としてテロリストを恐怖に陥れる“歩く処刑台”強行班副班長「ジェダイ」も、当時は救難ヘリのパイロットとして上空にいた。

「入間コントロール、レスキュースワン68 山間部から国道XX号線沿いに一部土砂崩れあり。国道は通行可能と思われるが注意が必要。危険と思われるポジション、…」
『入間コントロール了解。レスキュースワン68 このまま北上し◯◯市街地の被害状況を確認せよ。ただし低高度アンノントラフィック多数あり。キープAVOBE 4500ft』
「コピー、CLIMB to 4500」
高度を上げながらジェダイは訝しんだ。被災地上空に航空機…あいつらもう来たか、ハイエナ共め。
市街地が視界に入ると同時に、上空を飛び回るハエのような機影が多数見えた。この様子だと回避せざるを得ない。しかし高度を上げると偵察の精度が下がる。
「入間コントロール レスキュースワン68 市街地を視認、家屋や道路に被害がある模様。上空にトラフィック多数。」
『入間コントロール了解。安全な高度から引き続き任務続行せよ。』
「スワン68…トラフィックインサイト、リクエストDESCEND(降下を許可願う)」
『ネガティブ、安全を優先せよ』
「スワン68…!」
高度を下げようとしたところ、針路を塞ぐようにヘリが突っ込んできた。あと数秒で空中衝突というところで回避する。ピカピカの機体には「毎朝放送」の文字…。この無法者め。報道ヘリはいつだってこうだ。
「入間コントロール、市街地は家屋の倒壊及び一部道路の寸断を確認。◯◯地区、細部の状況はこの高度からでは確認できない。住民らしき人影複数、空き地や公園からこちらに手を振っている。」
『入間コントロール了解』
米軍のようにドアガンが搭載されていれば、忌々しい報道ヘリを撃墜してやるのに。
その頃、入間コントロール作戦会議室ではメインスクリーン横にある「情報収集用」の札を掲げたテレビを数人が見つめ、溜息をついていた。
『ご覧ください、空き地には住民の方々が避難し、こちらに手を振っています。一刻も早く救助すべきでしょう』
一同は怒気を露わにし、モニターに罵声を浴びせる。
「貴様らが邪魔だから何も出来ないんだろうが!」「上空を映せよ、お前らのせいでアプローチできない救難機が何機も飛んでるぞ!」
現地上空
「入間コントロール、スワン68 ◯◯地区、要救助者は推定20名程度。この高度からでは細部はわからない。」
『了解、陸自ヘリ指向中。レスキュースワン68 RTB』
「レスキュースワン68ラジャー、RTB」
『陸自ヒューイフォーメーションが国道沿いに飛行中、USE CAUTION』
「ラジャ、スワン68 高度を維持しつつ川沿いに南下し帰投する。」
要救助者の正確な人数はわからないが、UH-1なら数回ピストン輸送すれば全員を避難所に移送することができるだろう。報道ヘリが邪魔さえしなければ、とりあえずは安心だ。
報道の自由、知る権利…マスコミの声はいつも強烈に暴力的で、人々の自由を蹂躙し、我々の任務を阻害する。クルー全員がやり場のない怒りを抑えながらジェダイの操縦するレスキュースワン68は基地に帰投した。
(続く)
横田広域警察24時〜YPD SWAT「JEDI」〜

(このストーリーはフィクションです。実在の人物、団体等とは一切関係ありません。)




タグ :雑談


Posted by m14gbbshooter at 15:24│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。