2016年09月12日

僕は64式小銃が欲しい②

僕は64式小銃が欲しい②
前回の話はこちら。→ http://m14gbbshooter.militaryblog.jp/e796548.html

盛大な支援射撃の中、64式小銃を抱えて前進する。車載MG手のニイチャンは飛んでくる敵弾を屁とも思っていないようだ。リズミカルな射撃音は鳴り止まない。
『小隊、一斉躍進』
「2班、前方15堆土の線まで早駆け!」Yタケ先輩は戦闘指揮になると豹変する人だ。大人しくついていけば生き残れる。
「2班前へ!」数秒間だけ全力疾走し、土コブの後ろに滑り込む。
「2組とうちゃあく!」口に入った土くれを吐き出しながら報告した。アドレナリンが湧き出てくる感覚はクセになる。
一斉躍進である程度進んだら、交互に支援しながら前進する。
「以後の前進は組前進。当初1組前進、2組・機関銃組は射撃支援」ここから組長としての仕事が忙しくなる。
「2組、前方150敵散兵、指命!」隣にいるシマダが照門を起こし、安全装置をいじっているのが視界に入った。勿論、発砲するまでは引鉄に指をかけないし、訓練では的に狙いを定めるまで安全装置もかけたままだ。副組長のシマダは去年まで神町で無反動砲手をやっていた。体力と口の悪さは一級品である。御目付役を買って出たが、なかなか筋のある奴だ。
僕は64式小銃が欲しい②
「2組てぇ!」アドレナリンを抑えつつ射撃を開始する。
1組が前進し、じきに射撃姿勢を取る。
「撃ち方止め!」次は私達が走る番だ。安全装置をかけ、照門を倒す。
「2組、前方15堆土の線まで早駆け!」あちこちから「ヨシ!」の声が上がる。Yタケさんの直接指揮する1組が射撃を開始した。
「2組前へ!」喊声を上げながら駆け出し、ほんの数秒で第3匍匐の姿勢に移る。銃弾の嵐の中で的になるのはゴメンだ。
早駆けを繰り返し、敵陣までかなり間合いを詰めた。
「以後の前進は各個前進、突撃発起位置につけ」いよいよ敵陣に肉薄してきた。支援射撃は継続し、頭上数十センチを超音速の鋼鉄片が飛び交っている。突入に適した傘型隊形に移行しつつ、第4匍匐で前進する。
「シマダぁ、出すぎるな!左翼に合わせる!」「了解!左翼オセェんだよ!!」砲弾の炸裂音にかき消され、罵声はもちろん届かない。遅れがちな左翼はノロぴょん先輩の組だ。WACなのに攻撃に志願したのは偉いが、体力と練度の差はどうしようもない。そもそもシマダが速すぎるのだが。ノロぴょんの事はAARでYタケさんに指摘してもらおう。もう少し訓練に参加してほしかった。
僕は64式小銃が欲しい②
第5匍匐で頭を地面に擦りつけながら前進し、所定の位置に到着した。
『小隊は突撃発起の位置についた。突撃準備』「着剣弾倉交換!」
妙に長い銃剣は、国旗に対する敬礼や銃剣格闘の際とても便利だ。見栄えがするし、リーチの長さは格闘で有利になる。着剣し何度も引っ張ってロックを確認する。数発残っている弾倉もフル装弾してある弾倉に交換する。準備よし、後は号令を待つだけだ。
『最終弾弾着5秒前』榴弾が炸裂した直後に突撃する。
「第2班、突撃にィ〜」弾着のカウントに被せてYタケさんが吠える。
『弾ちゃーく、今』「進めぇ!」
ドォンという爆発音の直後、一斉に立ち上がり、床尾板を肩に叩きつけるようにして構える。照星だけで狙いをつけて3点射。小銃を抱えて数歩前進し更に短連射、敵の頭を下げさせる。
僕は64式小銃が欲しい②
「突っ込め!」Yタケさんを先頭に突入口へ殺到する。施設の連中が啓開した文字通りの血路だ。ズタズタになった鉄条網に触れてズボンが切り裂かれたが、気にする暇はない。敵陣に進入し横一線に展開する。斜め後方から射撃支援しているMG組を残し、ほぼ全員が突入に成功した。
「前へ!」喊声を上げながら敵陣を蹂躙する。敵を見つけ、全体重を乗せて銃剣を突き出す。床尾の付け根が細くなっているのは、こういう時に握りやすくするためだ。気付いた時には弾倉がカラになり、スライドが下がったままになっている。弾倉交換している暇はない。銃剣を突き出すほうが早い。
「地上戦闘は要するに陣地の奪い合いで、最後は歩兵が陣地を占領する必要がある。戦争が人と人の戦いである以上、白兵戦が無くなることはあり得ない」地上戦闘の心構えをOBの父に教わった。戦いに勝つということを本能で理解する。ハイテク時代の軍人も体は鍛えておくべきなのだ。
「その場に伏せ!脚使用伏撃ち!」陣地内を掃討し、逃走した敵に弾を浴びせる。「てぇ!」銃身からもうもうと煙を上げながら銃弾を吐き出す。
「撃ち方止め!」MG組が陣地内に前進してきた。これ以上弾を浪費する必要はない。攻撃は成功した。
「2班、武器装具点検」シマダとペアになり、異常がないか確認する。64は壊れてはいないが、照準が狂ってないか心配だ。どうせなら左に21クリック分銃身が曲がっていればいいのにと考えながら、硝煙で煤けた相棒を眺めた。
僕は64式小銃が欲しい②




タグ :雑談


Posted by m14gbbshooter at 15:32│Comments(0)
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