2016年09月09日

僕は64式小銃が欲しい①

僕は64式小銃が欲しい①
10月とは思えない強烈な日差しのせいで、ドーランを塗ったくった顔が既に汗まみれになっている。識別帯は緑地に黒、1班は逆V字、2班は斜線で塗り分けてある。
小隊は敵の占領下にある「茂みの台」を奪還するー 既にレンジャー隊員が後方に浸透し、特科は敵陣に榴弾の雨を降らせている。コブラのロケット弾攻撃が終わったら攻撃開始だ。私は第2班小銃2組長として攻撃に参加する。
僕は64式小銃が欲しい①
『各小銃組長は小銃弾5発を減じ、組員に配分せよ』射撃よりも指揮に集中しろということなのだろうが、妙な所でケチるなと言いたい。
大事な相棒、64式小銃は部品の一つ一つまで綺麗に拭き上げてから組み上げ、スライドレールには都内のエアガンショップで買ったテフロンベアリングスプレーを吹き付けてある。諸先輩方や一般人にはすこぶる評判の悪い小銃だが、幸い今まで砂埃の中でも泥だらけのタコツボの中でも作動不良に見舞われたことはない。右に21クリック、ゼロ点規制もバッチリだ。過去に銃剣刺突でガツンとやってしまったようだが、工具ケースに残っていたラベルによると前の持ち主は知り合いの怖い先輩らしいので文句は言わない。
好事家の間では89式小銃ですら駄作のレッテルが貼られ、やれAKだM4だと外国の銃がもてはやされているが、勿論撃ったことなどないし自分には64しかない。少し訓練すれば異常なほどよく当たるし、しっかり手入れして丁寧に扱えばそれほど困ることはない。むしろ女の子を扱うよりも簡単だ。
「小隊、前進用意」小隊長の声が無線から流れた。革手のバンドを締め直す。1弾倉も撃てば小銃の銃身はアツアツになり、ナイロン手袋など簡単に穴を開けてしまう。それに、手にぴったりと馴染む革手のフィット感はそうそう手放す気にならない。
「2班、周囲警戒!」班長のYタケ先輩が吠える。いよいよ攻撃発起位置まで前進する。車載MG手がミニミを装填した。近所の師団から支援に来てくれた気さくなニイチャンだが、もう眼光は鋭く敵陣側を睨んでいる。
「小隊前へ」フル装備の隊員を満載した高機動車が攻撃発起位置目がけて飛び出した。僅か数分の道のりだが、ひどく長く感じる。頭上のミニミが火を吹き、リンクベルトが降ってきた。いいぞ、もっと気前よくブチかませ!襟首からリンクが入ってチクチクするが、取り出すのは後だ。
僕は64式小銃が欲しい①

「下車戦闘用意!」Yタケさんの目が血走っている。号令に続く急制動。
「下車!」ドヤドヤと荷台から降り、攻撃発起線につく。ヤブ越しに敵陣が見えた。ここから約200メートル先、タコツボに潜って砲撃をやり過ごした敵がウジャウジャいる筈だ。
上等だ、ヤッてやる…!

つづく。
僕は64式小銃が欲しい①




タグ :雑談


Posted by m14gbbshooter at 10:11│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。